はじめに
中学受験の本番前から合格発表までに、親がやることをまとめます。
長男(2023年組)と次男(2026年組)の2回、本番に付き添いました。どちらも前受けから本命、午後校、翌日の受験、合格発表まで、ほぼ全部そばで見ています。その時に実際にやって効いたこと、やっておけばよかったことだけを、場面ごとに書きました。
この時期、親は問題を解けません。できるのは、子どもが試験で力を出せる状態を作ることです。
今いる場面から読んでください。
- 直前10日|直前特訓の復習を最優先に
- 前日|疲れさせて、早く寝かせる
- 当日朝から送り出しまで
- 試験直後|落ち込んでいたら
- 2日目・午後校・翌日の受験
- 合格発表の前に
- 合格したら
- 思うようにいかなかったら
- 兄弟の本番を順に読む
小6の9月から年末までの判断は、こちらにまとめています。

直前10日|直前特訓の復習を最優先に
浜学園では12月23日から入試直前特訓が始まり、大晦日も正月も志望校別の講座やプレ入試が入ります。

長男の時、親は「直前は学校も休むし、時間があるだろう」と思っていました。実際は逆でした。直前特訓は宿題も復習テストも実践テストも毎日あり、あれもこれもやろうと立てた予定はほとんど消えました。
それでも、この時期に一番時間を使うべきなのは直前特訓と志望校別模試の復習です。塾の講師が志望校の傾向を読んで作った問題なので、本番で似た問題が出ることがあります。長男は本命1日目の算数で、直前特訓でやった問題とほぼ同じ問題に2問出会いました。終盤は、一般的な問題より志望校別の問題です。
もう一つは体調です。ここまで来てインフルエンザで崩れるのが一番悔しい。長男の時は、前受けが終わった後から本番まで長男を学校に行かせず、次男と三男も休ませました。誰か1人がうつると、間違いなく受験生にうつるからです。
次男の時は、本番の1週間前にインフルエンザの予防投与をしました。予防投与は本来、感染者と接触した後に行うものです。それでも、親が医療従事者であること、兄弟が小中学生であること、塾は滞在時間が長く密度も高いことから、接触の有無にかかわらずやると決めていました。下痢などの副作用と、薬が効きにくくなる耐性の問題はあります。副作用は以前使った時に出ないことを確認していて、仮に出ても本番まで7日あれば回復すると見積もりました。医学的な根拠があるやり方ではなく、うちの判断です。

解熱剤(カロナールなど)と、念のための抗インフルエンザ薬も手元に置いていました。
生活リズムは、10日を切ったら朝型に寄せます。夜型のままだと夜に頭が冴えて朝がきつくなり、寝不足からお腹の調子も崩れます。ただし無理はしません。次男は直前特訓で帰宅が遅く、本人が「少し寝たい」と言った翌朝は8時まで寝かせました。睡眠不足で体調を崩したら元も子もないからです。
前日|疲れさせて、早く寝かせる
朝早く起こし、昼寝はさせない
長男の前日は朝6時台に起こし、塾の前日特訓まで家で算数と理科の復習をしました。朝早く起こして疲れさせ、夜はぐっすり眠ってもらう作戦です。
大事なのは昼寝をさせないことです。15時以降に少しでも寝ると、夜に寝付けなくなります。これは医師として、不眠で困っている患者さんにも伝えていることです。長男は21時にベッドに入り、22時には寝息を立てていました。
前日にやることを決めておく
前日は、一度やった問題の見直しがいいと思います。新しい問題には手を出しません。次男は、朝に何をやるかを前日までに決めていました。模試で間違えた問題をコピーして貼った算数のノート、国語の語彙問題を集めたノート、本命の過去問1年分です。やることが決まっていると、緊張して頭に入らない前日でも、それに集中できます。
おやすみコール
浜学園には、前日の夜に講師が激励の電話をくれる「おやすみコール」があります(希望者のみ)。次男の時は、志望校別コースの算数と国語の先生、アドバイザーの先生の3人から電話をいただきました。次男は声が小さくて「聞こえてる?」と言われていましたが、ずっと教えてくれた先生の声は効きます。
眠れない時
次男は本番1日目の夜、興奮したのか1時間たっても眠れず起きてきました。長男も2日目の前夜、11時過ぎに目が覚めて起きてきました。どちらも、そばで背中をさすりながら一緒に横になったら、すぐに寝てくれました。誰かがそばにいると不安が和らぐようです。
それでも眠れない時は、「眠れなくても大丈夫」と伝えます。布団の中でじっとしているだけで体は休まりますし、本番ではアドレナリンが出るので多少の寝不足は問題になりません。「寝ないとやばい」と思うほど眠れなくなるので、そこから外してあげることです。起き上がると余計に目が覚めるので、布団の中にいさせます。
お腹
あまり話題になりませんが、試験中のお腹の具合はかなり大事です。私は高校受験の時に緊張で便秘になり、そのピークが本番に来ました。問題が頭に入らず、落ちるかと思いました。休憩時間に済ませた後の試験はよくできたので、なんとか挽回できましたが、今でも冷や汗が出ます。
直前は学校を休んで運動量も減り、緊張もあって腸の動きが鈍くなります。12歳にコントロールさせるのは難しいので、「いつでもうんちしていいからね」と伝えていました。前日の食事は食べ慣れたもの(うちはうどんとスープ)で、生ものは避けます。カツを食べる必要はありません。
緊張から下痢になる子もいます。医師としては、下痢止めはあまり勧められません。市販のストッパや処方薬のロペミンはありますが、緊急の最終手段です。下痢をしやすい子は、事前に主治医に対応を相談しておくといいと思います。念のため、替えのパンツとズボンを持たせておきます。
緊張をほぐす方法
浜学園の激励動画で、吉田たかよし先生が緊張をほぐす方法を話されていて、12歳にも使えると思いました。深呼吸は吸うことより、時間をかけてゆっくり吐くこと。試験中に考えが止まったら、視線を遠くに移すと思考がリセットされることがある。前日に一度、確認しておくといいと思います。
当日朝から送り出しまで
移動中に話したこと
長男は乗り物酔いがひどいので、電車の中では勉強させませんでした。酔い止めも飲ませていません。酔い止めの多くは抗ヒスタミン薬が主成分で、眠気が出るからです。
電車の中では、次の3つを話しながら向かいました。
- 今までのテストでよかったこと(合格判定を取ってきたこと)
- よくやってしまう間違い(計算ミスなど)
- 捨て問はあっさり諦めて、取れるところから解くこと
トイレは会場に入る前に
次男は本番の朝、塾の早朝講座のあとにトイレに行こうとしたら先客がいて、済ませられませんでした。「学校でする」と言うので任せましたが、腹痛で苦い経験がある親としては気が気ではありませんでした。結果、学校に着いてから済ませられたそうです。塾か会場で必ず行くように、朝のうちに念を押しておきます。
送り出しの言葉は短く
長男の時は、玄関前で別れる直前に「もう少し声をかければよかったかな」と思いましたが、スタスタ行ってしまいました。自分の受験を思い出しても、直前に何か言われても頭に入ってきません。次男の時は「いつも通りでいいからね」だけでした。
会場には早めに着く方がいいです。ある学校では、送り出してホテルに戻る頃には校門から大行列になっていました。寒い中で待つことになります。
待っている間の親
親は待機場所で待ちます。仕事をしようとPCを持っていっても、開きませんでした。本も頭に入りません。学校によっては、終わった科目の問題が掲示されたり販売されたりします。私は毎回買って読み、毎回不安になりました。どんな問題でも不安になるので、見ない方がいいと思います。見てしまうんですけどね。
持ち物(学校の指定が最優先)
持ち物は、学校の募集要項と当日の案内に従うのが大前提です。そのうえで、うちが持っていったものです。
本人が持つもの
- 受験票(親も予備を持つ)、筆記用具2セット、上履き(指定がある場合)
- 腕時計:規定に合うもの(スマートウォッチ・デジタル・音が鳴るものは不可が多い)。電池を確認し、前から付けて慣れておく。時計がない教室に備えて予備も
- ハンカチ・ティッシュ、飲み物
親が持つもの
- 募集要項(当日の注意事項が載っている)
- 雨の日の着替え一式(靴・靴下・ズボン)とタオル。駅から遠い学校で靴下まで濡れると、寒くて試験どころではありません
- 替えのパンツ
- 解熱剤などいつもの薬
携帯電話は持ち込み禁止の学校が多いですが、前受けの会場で係の人に聞いたら「電源を切っていれば可」でした。お迎えで会えなかった時に困るので、聞いてみる価値はあります。
雪で電車が止まりそうな年は、ホテルも考えておきます。長男の時は厳冬だったので2か月前に予約し、雪の心配がなくなったのでキャンセルしました。
直前の細かい準備は、こちらにも書いています。

試験直後|落ち込んでいたら
答え合わせは「しない」が原則
試験後の答え合わせは、基本的にしない方がいいです。ただ、子どもが自分から話し出すのは止められません。
気をつけたいのは、友達との答え合わせです。休憩時間が長い学校では、しないように言っていても周りの話し声が聞こえます。塾のクラスが上位だと自然と同じクラスの子で集まり、その中によくできる子がいて答えが違うと、動揺します。長男は1日目の帰り道、「5って言ってたけど6やんな?お父さんも解いてみて」と震えていました。結果的には長男が合っていました。聞こえても気にしなくていいと、事前に話しておくといいと思います。
もう一つ。前受けの試験で、長男は答案の回収前に隣の子に「答え合わせしたいから見せて」と言われ、見せていました。下手をすれば2人とも不正を疑われます。「本命では絶対やらないで」と伝えました。
甘めの採点で立て直す(全員向けではない)
長男は本命1日目、得意の算数で空欄が3つ出て、「テスト中、泣きそうになった」と言って出てきました。2日目に向けて「算数で80点取らないといけないかも」と、負けを取り返そうとする気持ちになっていました。何度「大丈夫」と言っても入りません。
そこで、軽く答え合わせをしました。間違っていそうなところは配点を低めに、合っていそうなところは多めに見積もり、部分点も上乗せして、「部分点なしでも60点はある、大丈夫」と伝えました。親のさじ加減の採点です。これで少し気持ちが戻り、翌日と、その後の学校も受けられました。
これは全員に勧める方法ではありません。落ち込みが次の試験に響きそうな時の手です。答え合わせが、逆に自信を削ることもあります。お子さんの性格で決めてください。
親の言葉が効かない時は、講師に頼む
親がいくら大丈夫と言っても効かない時があります。長男が1日目を終えて落ち込んでいた時は、塾の講師の先生に電話で話してもらいました。「誰もが難しかったと思っている。明日頑張れば十分逆転できる」。ずっと教えてくれた先生の言葉で、落ち着きを取り戻しました。好きな先生がいれば、その先生にお願いするといいと思います。
一番よかった成績を見せる
うまくいかない時、子どもは「自分だけができていない」と思い込みます。一部のトップ層を除けば、受験生はだんご状態で、差はほんの少しです。その差を分けるのは気持ちです。長男には過去の模試で一番よかった成績を見せて、「お前が解けなかったら、みんな解けていない」と伝えました。試験の前に、一番いい成績を見てから会場に向かうのも効くと思います。


2日目・午後校・翌日の受験
関西の中学受験は、本命が2日制だったり、同じ日に午後校があったり、翌日も受験があったりと連戦になります。
長男も次男も、本命2日目のあとに午後校を受けました。流れは2人とも同じで、ラーメンで昼食、カフェで時間をつぶし、次の学校の過去問をさっと見てから会場に向かいました。長男の時にうまくいったルートを、次男の時は験担ぎでなぞりました。
午後校で出てきた次男は、「理科が時間余ったから国語も解いてた」と言いました。選択制で、理科だけに集中しろと念を押していたのにです。前日に長男が同じことをしたと話していたのを真似したようです。できたならいいのですが、本命以外で油断すると足元をすくわれます。
翌日の学校が遠い場合は、学校の近くに泊まります。早朝の講座がある日は特にです。移動の日は荷物が増えるので、忘れ物に注意します。私は次男の本命2日目の朝、電車の荷棚にスーツケースを置き忘れました。駅員さんに乗っていた車両を伝えたら、次の停車駅で見つけてもらえました。停車中の数分で探すので、何両目に乗ったかは覚えておくと助かります。
次男の本命と午後校の日のことは、連載で書いています。

合格発表の前に
誰が、どこで見るか
長男の本命は、学校の体育館に番号が張り出される形式でした。合否にかかわらず書類の受け取りのために来校する必要があり、親子で見に行きました。Web発表なら、親が先に見るか、子どもと一緒に見るかを決めておきます。
発表前は、おいしいものも喉を通りません。長男は発表の2時間前に念願のラーメンを食べに行き、半分でギブアップしました。学校の最寄り駅に着くと、私も長男もお腹が痛くなって、順番にトイレに駆け込みました。
本命の発表が、次の試験中に来る場合
日程によっては、本命の発表が別の学校の試験中に来ます。子どもは「受けたくない」と言います。気持ちはわかりますが、万が一のために、その学校も手を抜かず受けさせます。全部落ちることもありえるからです。
併願校を専願に切り替える方法
学校によっては、併願で出願しておき、第一志望の結果を見てから塾を通して専願に切り替えられる場合があります。長男の時は、第一志望が不合格だった場合に備えて、京都の学校を併願で出していました。この仕組みは学校の要項には書かれていませんが、塾の保護者向けの説明会では毎年案内されています。期限があるので、使う可能性があれば塾に確認しておきます。
抑えの学校は必ず受ける
どのレベルの子でも、抑えの学校は必ず受けてください。1校も受かったことがない、という経験は、その後の人生に影を落としかねません。偏差値50前後の学校を中心に受ける場合は特に、合格を1つ持って本命に向かえる日程を組むことです。
発表前に、伝える言葉を決めておく
長男の本命の発表に向かう道で、あまりに心配そうだったので、こう話しました。
「たとえ落ちていても、お前が悪いことはないんやで。今まで一生懸命勉強していたのは、お父さんもお母さんも知ってるから。夏休みからは遊ぶのを我慢して、朝から晩まで勉強してきたのを見てる。誰も怒ったりしないよ。もしだめでも、大学受験を頑張ったらいいやん」
「落ちたら、お父さんのやらせ方が悪かったかもしれない。お父さんのせいやわ」
長男は目に涙をためて、「うん」とうなずきました。
発表を待つ間、親は意味もなく予想点と合格最低点を計算し直します。私は長男の時も次男の時も、スマホの計算機を何度も叩きました。何度やっても結果は変わりません。それより、どちらの結果でも最初に何と言うかを決めておく方が役に立ちます。

合格したら
番号を見つけた時、派手に喜ばないでおこうと決めていたのに、長男を抱きしめてしまいました。周りには、不合格だった親子もいます。書類の受け取り場所の近くに塾の先生方が来ていましたが、みなさん硬い表情でした。落ちた子への配慮です。喜ぶ気持ちは、学校を出てからにします。
長男には「お母さんにはありがとうと言えよ。いつも弁当とかプリントの整理とかしてくれたんだから」と約束させ、妻に電話をかけさせました。
手続きの期限は学校ごとに違い、短い学校もあります。合格通知と一緒に届く案内を最優先で確認します。他校を辞退する場合の方法も同じです。
長男は翌日、学校に行きました。休んでもいいと思っていましたが、友達と遊びたくて仕方なかったようです。帰ってすぐ公園に行き、小6の夏まで続いていた日常が戻りました。
思うようにいかなかったら
不合格の画面を見た瞬間、親も言葉が出ません。心の準備をしていたつもりでも、できていなかったことに気づきます。
まず、急いで何か言わなくていいです。「次がある」「縁がなかった」「いい経験になった」は、どれも直後には入りません。原因の分析も、後でいいです。伝えるなら、発表前に決めておいた言葉です。お前のせいじゃない、頑張ってきたのは知っている。
子どもの反応はさまざまです。泣く子、怒る子、黙る子、平気そうに見える子。「もう一度挑戦したい」と言い出すこともあります。その気持ちを、その場で頭から否定しなくていいと思います。一度受け止めて、時間をかけて整理していきます。
学校は数日休ませてもいいと思います。「合格した」と言って登校することしか想像していなかった子にとって、すぐ教室に戻るのはつらいものです。担任の先生に事情を伝えれば、たいてい分かってもらえます。
親の感情の置き場所も決めておきます。親が泣くのは当然です。ただ、子どもが親を慰める側に回る形だけは避けたい。「これだけお金をかけたのに」は、合格でも不合格でも子どもに言う言葉ではありません。
次男の本命の発表当日のことは、別の記事に書いています。発表の日の朝から、画面を開いた瞬間の私の気持ち、試験会場から出てきた次男にどう伝え、何を言われたか。書くのに時間がかかった記事です。

有料記事(300円)です。月額プランの会員は追加料金なしで読めます。
長男の時、もう一度やるなら
長男の本命は、当然受かるものと思って油断していました。長男も直前は「緊張していなかった」と言っています。そこに想定外に難しい算数が来て、「こんなはずじゃない」と崩れました。直前の気持ちの持っていき方は、もっと考えるべきでした。安心させるのと、油断させるのは違います。
もう一つは過去問です。直前特訓が始まると、過去問に回す時間はほとんど取れません。第一志望の過去問は12月までに終えておくべきでした。午後校は過去問を1回しかやっておらず、翌日の学校は1年分だけ、その学校の模試も受けていませんでした。本命の手応えが悪かった時、もう少しやっておけばよかったと思いました。

兄弟の本番を順に読む
ここまでに書いた場面は、それぞれ当日の記録があります。順に読むと、本番の数日間がそのまま追えます。
長男(2023年組)
次男(2026年組)
次男の直前期の成績(正月のプレ入試、最後の公開学力テスト、志望校別特訓の最終成績)は、成績記録の部屋に兄弟別にまとめています。
三男(2028年組)は今、小5です。本番は2028年1月、まだ1年4か月先です。
まとめ
本番前から合格発表まで、親ができることは限られています。直前特訓の復習を優先させる。体調を守る。前日は疲れさせて早く寝かせる。送り出しの言葉は短く。落ち込んでいたら、親のさじ加減や講師の力も借りて立て直す。発表の前に、どちらの結果でも最初に言う言葉を決めておく。
長男の時も次男の時も、最後は「これでダメだったら仕方ない」と言えるところまで来ていました。どの子も、その子なりに限界までやっています。あとは親が崩れないことです。
なお、ここに書いた薬や体調の対応は、医師である私が自分の子に対して判断したことです。持病のあるお子さんや感染症対策は、事前にかかりつけ医と相談してください。



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