今回は、子どもが大学卒業までかかる教育費について解説します。
具体的に子供にどれくらい教育費がかかるのか漠然としかわかっていない親御さんがほとんどだたお思います。
今回は、国の統計データなどをもとに、発表されています。
早速、解説していきますね。
平成30年度子供の学習費調査の結果
平成30年度子供の学習費調査の結果が文部科学省からおおよその教育費の額が発表されています。
衣食住を除いた幼稚園から大学までの教育費が公開されています。
✅ 幼稚園から大学まですべて国公立で実家から通学した場合
→10,404,082円
✅ 幼稚園から大学まですべて国公立で大学のみ一人暮らしの場合
→14,870,082円
✅ 私立大学文系で実家から通学した場合
→25,468,324円
✅ 私立大学文系で大学のみ一人暮らしの場合
→29,938,324円
平成30年度子供の学習費調査の結果(文部科学省Hpより)
すべて公立で実家から通学した場合でも1000万円以上、
すべて私立で大学は一人暮らしだと3000万円かかります。
なお、令和3年にも同様の学習調査が行われていますが、令和4年に発表される見込みです(令和4年7月時点未発表)。
幼稚園からすべて私立で、大学は私立の医学部の場合は、最低でも5,000万円はかかります。
私立の医学部は別格で高くなりますね。
私立の医学部に限って言えば、「お金がないと入れない」と言っても過言ではないです。
ですが、いまは私立の医学部でも「特別枠」が設けられていることがあり、学費がかなり免除されます。
兵庫県の地域枠の例
兵庫県内のへき地等で勤務する医師を確保するため、兵庫県が医学生へ修学資金を貸与し、卒業後、一定の期間、県職員として、県が指定する県内の医師不足地域等の医療機関で勤務する制度を設けています。
兵庫県のHPより
簡単にいうと、「兵庫県が学費を払うから医師になってから一定期間は兵庫県で働いてね(僻地)」という意味になります。
学費面が免除されることを考えれば魅力的な選択肢になります。
✅ 対象大学:自治医科大学、兵庫医科大学、神戸大学、鳥取大学、岡山大学
✅ 貸与金額:授業料等相当額+α
✅ 貸与期間:6年間を基本
✅ 勤務期間:9年間を基本
⇒卒後2年以内に医師になり、9年間勤務すれば、貸与金額の返済が免除されます。
金額は「授業料相当額+α」となっていて、『α』とは返還不要な給付金をもらえるということです。
たとえば、神戸大学ですと6年間で総額1,151万円支給されるのですが、授業料と入学金は6年間で合わせて約350万円です。
ですから、800万円は生活費などとして給付されるのです。
学生期間中に、月10万円以上も無償の奨学金をもらえる感じになります。
とんでもなく、魅力的な制度に見えます。
ただ、条件があります。
一定の期間、県職員として、県が指定する県内の医師不足地域等の医療機関で勤務する
という条件になります。
兵庫県であれば、医師不足が著しい日本海側などに赴任する必要があります。
医師になって最初の大事な9年間を自由に過ごすことに価値を置くか、地域医療に貢献する医師として過疎地域で9年間勤めるのかという大きな違いがあります。
地域枠で勤めている医師のはなしを聞く機会がありました。
主には県が指定する病院に勤める必要がありますが、すこし要望を聞いてくれるようです。
うまく交渉しながらベターな9年間を過ごす必要がありそうですね。
いずれにせよ、
医師になってからの9年間を代償に、医学部+αを賄ってくれる制度は一考の価値がある
と思います。
神戸大学以外にも、自治医科大学、兵庫医科大学など私立大学の医学部も同様の制度があります。
区分 | 募集定員 | 貸付金額(6年間総額) | 内訳 |
---|---|---|---|
自治医科大学 | 2~3名 | 2,300万円 | 入学金、授業料等 |
兵庫医科大学 | 5名 | 4,480万円 | 入学金、授業料等 |
神戸大学 | 10名 | 1,151万円 | 入学金、授業料等 |
鳥取大学 | 2名 | 1,151万円 | 入学金、授業料等 |
岡山大学 | 2名 | 1,151万円 | 入学金、授業料等 |
兵庫医科大学では、4,480万円もの学費+αを払ってくれます。
私立大学の場合、通常で入学するよりはかなり狭き門のようですが、選択肢として知っているか知っていないかは大きなちがいですね。
ちなみに、わたしが高校生の時は、このような制度があることすら知りませんでした。
医学部を目指しているお子さんの親御さんはしっかり把握して、選択肢としてお子さんに教えてあげてください。
中学生の費用
中学校だけの比較でみると、
平成30年時点で、私立中学は年間140万円です。これは年々増加しています。
公立中学がほぼ横ばいで推移しているのとは対照的ですね。
ちなみに、これは一年間の試算です。私立中学と公立中学は1年間で約100万円も違います。
つまり、
私立中学は3年間で公立より約300万円高い。
インフレ、物価高などのコスト増加を考えると令和4年現在はもっと上がってそうですね。
私立中学行くとなると、自然とエスカレーターで私立高校に行くと思います。
高校の費用
私立高校の費用を見てみましょう。
私立高校は、年間約100万円になりますね。公立の約2倍となります。
高校は義務教育ではないためか中学校より差は縮まっています。
あとは、私立高校無償化の影響も考えられます。
私立の無償化は所得制限が大体「1,000万円」前後となっているので注意が必要です。
年収1,000万円前後の親御さんは、私立高校が無償化になるのかならないのかは早めにシュミレーションしておくことをお勧めします。
無償化をあてにしてたけど、無償化から外れたという場合はかなりきついです。
そもそも子どもの学費に関して所得制限することは非常にナンセンスだと思うのですが…現状は仕方ないです。
いずれにせよ、いきたい私立高校があるのであれば、早めにシュミレーションをお勧めします。
大学の学費
国立の医学部を目指すパターンを考えてみましょう。
中高は私立、医学部は国公立を目指すパターン
幼稚園と小学校は公立でそれぞれ649,088円と1,926,809円。
中学校と高校は私立でそれぞれ4,217,172円と2,904,230円。
国公立医学部は6年間で約3,500,000円+一人暮らし費用。
合計で1,300万円+大学での一人暮らし費用が必要。
日本政策金融公庫の令和元年度「教育費負担の実態調査結果」によると、一人暮らしの仕送りは平均で年間102万円と報告されています。
ですから、大学のときに一人暮らしか実家から通えるかでもだいぶ費用が替わってきます。
大学を実家から通える国公立医学部に入学できれば、トータルの費用はぐっと抑えられます。
私自身は、すべて公立校で大学も国立でした。
国立医学部でしたので、私が在学当時は6年間トータルで学費は330万円くらいだったと思います(入学金30万円+授業料年50万円)。
国立ですと、施設修繕費を要求されたり、寄付を要求されたりすることはないので、330万円以外に必要な経費と言えば、教科書代や交通費くらいでした。
ただ、公立高校だと受験対策をまともにやってくれないので、「塾」が必須になります。
公立は中学受験はなくても、高校で進学校に行くために塾に行く必要はありますし、国立医学部を目指すのであれば、高校時代に予備校などに通う必要はあります。
そうなんです!
先ほどから挙げてる数字はすべて、進学塾の費用は加味されていない
です。
厳密には、「学校外活動費」として、ピアノなどの芸術的な習い事や自宅学習教材、塾の平均値が費用に加算されていますが、いわゆる「進学塾」に必要な経費は加味されていないと考えたほうがよいです。
ちなみに、上記数字には「学校外活動費(=習い事など)」として、小学校では年間20万円、中学校では年間30万円が平均値が加算されています。
この額では、とても進学塾の費用をカバーできるほどではありません。
すなわち、上記の費用に加えて、進学塾や予備校費用を加算して考える必要がある。
私立中学に行くためには、中学受験専門の塾は必須です。
そのコストは小学校4年から6年までの3年間で200万~300万円はかかるでしょう。
私の長男は「浜学園」という塾に小2から通っていますが、今までにかかって費用を公開しています。
ぜひ参考にしてください。ホラーかと錯覚するような背筋の凍るリアルな数字がわかって、暑い夏も涼しく過ごせると思います。
ですから、中高は私立、医学部は国公立(実家から通える)を目指すパターンを考えると、
表向きの費用はトータルで1,300万円でしたが、中学受験でトータル200万円、大学受験でトータル100万円の進学塾代と仮定して、教育費は大体1,600万円は最低必要となる
比較すると、実際はコスパがいいことがわかります。
すべて国公立(医学部以外)で大学一人暮らしと仮定した場合の必要費用約1,500万円とほとんど変わりがないんです。
そればかりか、中高は公立で大学のみ文系私立大学で一人暮らしの費用(推定1,700万円)より安くなります。
医師になりたいと思っているならば、私立中学と高校に通って自宅から通える国公立医学部に受かることが最善の道かもしれません。
公立高校から医学部目指せばいいのでは?というご意見もあると思いますが、私の時代とは違って医学部志望もかなり増えていますので医学部への道はかなり狭き門となっています。
そのニーズに合わせて私立中学は医学部に合格するノウハウを積み重ねています。
現役合格率も違います。やはり私立のほうが現役合格率が高いので、浪人するリスクも減少します。
18歳~19歳の1年を浪人するのは、大きな時間の浪費です。
1年ロスすることで、生涯年収もだいぶ変わってきますしね。
理系の国公立大学、特に医学部を狙うのであれば、
中学高校は私立から大学は通学できる範囲の国公立
がコスパ的にも、現役合格的にもお勧めなルートです。
まとめ
今回は、子どもが小学校から大学までかかる費用についての概算を解説いたしました。
もちろん、どの学部を目指すのか、どこに住んでいるのかなどいろんな要素があるので一概には言えませんが、大まかな必要な経費を考えておくことは重要です。
子供がいきたい中学、高校、大学に行かせられないと切ない気持ちになってしまいます。
できれば、小さいうちから計画を立てて資金計画を立てていきたいですね。
別記事で教育資金を貯める方法について解説しています。参考にしていただければ幸いです。
子育てはお金がかかりすぎます。
いろんな制度を利用しながら、子供がなりたい職業に導いていきたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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